Azure Managed Grafana に Essential プランが登場していたので Standard との違いを比較したりアップグレードしたりしてみた
いわさです。
みなさん Grafana は使っていますか。
AWS ユーザーであれば Amazon Managed Grafana を使う方が多いと思います。
Grafana のマネージドサービス、実は Microsoft Azure にも「Azure Managed Grafana」という名前で存在しています。
今回 Grafana の機能をちょっと検証する機会があり、Azure Managed Grafana を使ってみることにしました。
知らなかったのですが、どうやら 2023 年 10 月からプレビューで検証用にコストを抑えて使用出来るプランが用意されているようです。
Azure Managed Grafana には、プレビューで利用できる新しい Essential 価格プランがあります。 このプランでは、Grafana のコア機能が割引価格で提供され、非運用環境で使用するように設計されています。
非運用環境での利用が想定されているようですね。
せっかくなのでこちらを使ってみることにしました。
料金
Azure Managed Grafana の料金体系ですが、まずインスタンスとアクティブユーザーに料金が発生します。
Standard プランの場合、インスタンスあたり $0.100 / 時間、アクティブユーザー一人 1 か月あたり $6 となっています。
それに加えてゾーン冗長オプションが必要な場合は追加の料金が発生したり、あとは Grafana Enterprise ライセンスをマーケットプレイスからサブスクライブすることが出来て、そちらを有効化した場合は料金が発生します。
Essential プランの場合はインスタンスあたりの料金が発生しません。アクティブユーザーの料金は同じです。
詳細は次のページに記載されていますので、最新の価格詳細はこちらをご覧ください。
AWS とは少し料金体系が違っており、インスタンスの概念があったり、エディター・ビューワーのユーザータイプの概念がありません。注意しましょう。
有効化してみる
サービスから Azure Managed Grafana を選択します。
基本情報として入力するのはこちら。
価格プランと Grafana バージョン、ゾーン冗長オプション、Grafana Enterprise の有効化です。
価格プランで Essential (Preview) を選択することで非運用環境用のプランを選択することが出来ます。
このあと見ていきますが Standard と比較すると選択出来るオプションや Grafana バージョンに制約があるようです。また、SLA がありません。
ただし、Essential で構築したインスタンスは後ほど Standard にアップグレードすることが出来ました。方法は後述します。
Standard のみの構成オプション
ゾーン冗長オプション
ゾーン冗長オプションは東日本リージョンでは有効化できないようで、こちらの画面からは選択が出来ませんでした。
また Standard プランでのみ選択が出来るオプションとなっており、Essential プランではゾーン冗長オプションは選択が出来ません。
Grafana Enterprise
オプションでGrafana Enterprise を有効化することが出来ます。
こちらは初期構築時に有効化することも、構築後に既存環境で有効化することも出来ますが、Essential プランでは利用出来ませんので、Essential を検討中で前提となるアドオンがある場合はご注意ください。
Azure Managed Grafana における Grafana Enterprise については以下もご確認ください。
Grafana バージョンのカスタマイズ
あとは Grafana バージョンも選択することが出来ます。
これもプランによって少しサポート状況が異なっているようでして、Standard の場合は 9 や 10 を選択可能なのですが、Essential の場合は 9 のみ選択可能でした。
どちらのプランもマイナーバージョンの選択は出来ません。Essential プランで構築した際は 9.5.16 でセットアップされていました。
9.5.16 は 2024 年 1 月 29 日にリリースされた、9 系でも新しいマイナーバージョン(最新は 3 月 5 日リリースの 9.5.17)なので基本的に最新のマイナーバージョンがインストールされると考えて良さそうです。
Grafana からのアウトバウンド IP アドレスの固定化
「決定論的な送信 IP」という日本語訳になってますが、要は外部データソースにアクセスする際の Grafana のアウトバウンド IP アドレスを固定化する機能です。
外部データソース側で IP アドレス制限などを行う場合に使うことが出来ます。これは結構使う機会多いと思います。
ただし、Essential プランでは残念ながら使うことが出来ません。
構成画面から消えてしまいます。なんてこった!
ネットワークオプション
Azure Managed Grafana では、他の Azure のマネージドサービスと同様に高度なネットワークオプションが用意されています。
これを使って、限定されたプライベートネットワーク経路のみを許可することなどが可能です。
しかし、このオプションも Essential プランでは利用出来ません。
インターネットアクセスが可能となります。
アクセスしてみる
構築後、概要ページから Grafana のエンドポイントへアクセスすることが出来ます。
画面の紹介を省略したのですが、Entra ID のサインイン中ユーザーを割り当て済みです。
なので Azure ポータルにアクセス中の該当ユーザーはそのままアクセスすることが出来ます。
Azure Monitor が最初から接続されていた
実は今回 Grafana 自体を触るのが初めてだったのですけども、とりあえず Azure の何かしらのメトリクスを表示するところだけ確認したいなと思っていました。
確認してみると、なんと Azure Monitor がデフォルトで構成済みでした。
Explore から可視化することが出来ます。
Azure Monitor を選択しフォルターからリソースを選択しましょう。
ここでは、普段検証用に使っている仮想マシンの CPU 使用率を選択してみました。
少し前に使用していたタイミングのデータが参照出来ていますね。
Essential から Standard へアップグレード可能
色々と制約事項もあるので、プランを変更したいこともあると思います。
Essential から Standard へのプラン変更をサポートしています。
構成メニューからプランを変更することが出来ます。
ただしこのタイミングで同時に Standard 用のオプションやバージョンは指定出来ないので、一度プランのアップグレードだけをしてしまいましょう。
プランを変更して保存するだけなのですが、アップグレードまで数分かかります。
Azure Managed Grafana を作成した直後の私の環境で、10 分程度かかりました。
アップグレード完了後、Standard が使えるオプションなどを選択出来るようになっています。
Grafana Enterprise メニューから Enterprise の有効化を行うことも出来るようになりました。
一点注意点として、Standard プランから Essential プランへダウングレードすることは出来ないようですのでご注意ください。
さいごに
本日は Azure Managed Grafana に Essential プランが登場していたので Standard との違いを比較したりアップグレードしたりしてみました。
AWS でも取り扱われているサービスなので以前から興味はもっていましたが、Azure でもマネージドな Grafana サービスがあるということで触るための良いきっかけとなりました。
また、Essential プランによって検証環境でも安価に試すことが出来たり、あるいは Azure Monitor と初期状態から統合されている点などから、Azure 上でも使い始めやすい印象を受けました。今後使っていってみたいと思います。